魔女の鍋

魔女の鍋の中身をお届け。

魔女と映画:「カメラをとめるな!」※ネタバレ大あり

先日、松葉杖をカンカンついて大阪はTOHOシネマズ梅田で「カメラをとめるな!」という映画を見てきた。

めちゃくちゃ久しぶりのTOHOシネマズ梅田、地方のスクリーンとは異なるビックなスクリーン。

ちなみに、カメラをとめるな!は大人気で、当日4回目の上映を朝7時に予約した時点ではもうほぼ満席で、端っこの方の席しかなかったくらいだった。

超満員御礼。

 

さて、以下、本記事はネタバレをふんだんに含むのでお気をつけくださいませ。

 

下記めっちゃネタバレ

まず、映画の構成は「劇中劇(A)」→「劇中劇に到るまでの経緯とキャストのキャラクター紹介(B)」→「最初の劇中劇の舞台裏とともにお届け(C)」である。

 

(A)パート、冒頭の劇中劇は「ゾンビものの映画を撮っていたキャストとスタッフたちが、本物のゾンビパニックにあう」という内容で、それこそ観客がいっぺん死んでしまうほどチープな作りでチープな内容である。え、これいつ終わるの?ていうかシャク持ちますか?っていう感じ。観客は一度ここであまりのB級映画感にしっぺん死ぬ。

 

劇中劇はエンドロールを迎え、(B)パートに。

なんやかんやあって、うだつの上がらない監督は鳴り物入りのゾンビもののノーカット番組を担当することになる。

キャストは監督の娘が大好きなイケメン、ヒロインは謎の軽いテンションのアイドル、そして一癖も二癖もある脇役たち。

劇中劇を作るまでにてんやわんやトラブル続きなのである。力のない監督は個性豊かな俳優陣に散々振り回され、ヘロヘロになりながらなんとか劇中劇当日を迎えるのだった。

 

そして、(C)パート。いよいよ劇中劇の撮影が始まる。

劇中劇では(一応)シリアスな劇中劇の裏側をさらに裏側から撮影するものであり、(B)パートの個性豊かなキャラクターたちがハプニングに継ぐハプニングによって伏線を回収しながら、めっちゃコメディに展開して行く。色々あって、監督も劇中劇に参戦、振り回されまくった監督(とその家族)はこれでもかというほどに、俳優陣たちを使いまくってはちゃめちゃな劇中劇が続くのである。

果たして、劇中劇は演者の機転につぐ機転によってなんとかそれっぽく仕上がる、ハッピーエンドを迎える。

 

感想

インディーズといって差し支えないプロジェクトで映画が作成され、たった2館の上映からその人気で全国に展開していった作品である。

その人気の通りの面白さだった。映画館では、コメディなB・Cパートでたくさんの笑い声が響く。シリアス(一応)なAパートの冗長さ(実際に長い)に飽きた頃合いに、クレイジーな監督は実は腰の低い、うだつの上がらない様子のギャップ、そしてCパートで再びクレイジーになるギャップの高低差で楽しませてくれる。

要はこの映画はめっちゃコメディである。一見冗長というか長すぎるだろ、これどうやって終わるのかと思えるAパートはまさにインディーズ映画にのみ許された特権であるだろう、と思われる。そして随所随所に現れる小物や色々がすごくチープなのだ。本作は300万円という破格の予算で作成されたそうだが(どこをどうして300万で作ったのかは不明)、そのチープさが帰ってテーマというか内容を引き立てているのである。

また、本作の俳優陣は全員無名の俳優であるが、全員の見た目とキャラが素晴らしく一致しており、またそれだけ実力をうかがわせるわけだが、やはりどこかインディーズ感が抜けないのである。同じく映画を引き立たせる素晴らしい要素である。

 

逆に、上田監督が予算を大枚にはたいて作品を作ることができるのであればいったいどんな作品を作ることができるか、非常に興味深い。チープさ、インディーズさを全面に出した本作を足がかかりに次に上田監督がつくるのはどんな作品であるのか、ぜひ見てみたいと思う。

 

終わり。