魔女のノート:負の数×負の数が正の数になる問題
いきなり何を言い出すのかとお思いだろう。
魔女は時折家庭教師をやっている。
家庭教師をするにあたって、というか、自分が中学から色々やり直したくて、家庭教師という責任ある仕事をすれば復習せずにはいられないのだから始めた。
しかし、私は数学が大の苦手である。
高校の時は、模試で数学大阪府最下位を記録したこともある。
もはや何につまづいて、どこからダメになったのか、今となっては全然わからない。
しかし、「人は辛い経験のぶんだけ人に優しくなれる」らしいので、「バカなぶんだけわからないことが多かったので、教えるのうまくいく」はずなのである。乗り越えていれば。
13才の私は乗り越えられず座礁し続けたが、年齢という浮き輪を与えられ、今はいろんな手段でそれらを補完できることを知ったのだ。
そこでとりあえず、スタディサプリという月額有料の講義アプリと、下記の本を買った。
この本、大変によかった。
そして、私がおそらく中学の時に初めてつまづいた箇所が下記である
わたし、中学の時に「これは覚えるもの」とされたから数学に興味をなくしたのだと思う。
— 鴨川を徘徊する魔女 (@Kamohai_) September 26, 2018
公式を覚えて計算することを楽しいと思えなかった pic.twitter.com/8UYWzMEveG
つまり、負の数×負の数=正の数になることを「覚えよ」と言われたことに非常に納得がいかなかったのである。
当時、というか今も数学は「説明ができ、それが数字という全世界共通の言語で理解されるもっとも論理的な学問である」と考えていたからである。
もっと、中学生当時の私の言い方に言い換えると「説明できる学問なのに覚えろとか意味がわからない」である。
とりあえず、覚えた。納得の行かないまま。
ということをツイートしたならば、アカデミア在住の素晴らしいビックブレインのみなさまから続々と素晴らしい回答を得ることができた。
せっかくなので、下記に紹介させていただきたく、今回は筆をとった次第である。
代数的な解説でよくあるのは、実数a,b,cに対して
— 平田朋義 (@tomo3141592653) September 26, 2018
a *0 = 0, a +(-a) = 0,a(b+c) = ab + acが成り立つように負数の掛け算を定義したい。
0= (-a)(b + (-b)) = (-a)b + (-a)(-b)
両辺にabを足して
ab = (a+(-a)) b +(-a)(-b)
ab = 0 + (-a)(-b)で
ab= (-a)(-b)ですね。
シンプルには(-1)*0 = (-1)(1 +(-1)) = 0を展開して -1 +(-1)(-1)=0 よって(-1)(-1) = 1
— 平田朋義 (@tomo3141592653) September 26, 2018
借金(マイナス)を踏み倒し(マイナス)たらトータルプラスみたいな、もっとうまい説明だったけど、マイナスがマイナスされたらプラスになるって言われてほえーってなった
— 清🎃 (@favkyo) September 26, 2018
いい比喩なのかわかんないけど(๑╹ω╹๑ )
乗法の分配性の公理から加法単位元が乗法吸収元であることがわかり、その事と再び分配性(と逆元の一意性)を用いることによって「『乗法単位元の加法逆元』との乗算」が「加法逆元をとる操作」と同じであることがわかる。再び逆元の一意性から「乗法単位元の加法逆元」の自乗が乗法単位元だとわかる。 https://t.co/sWdTKqj8kE
— Mathematical Aaron(原点回帰) (@takum97) September 26, 2018
順序体について学べばわかる。
— N.Y (@N_Y_Big_Apple) September 26, 2018
杉浦解析の最初に証明が載ってた気がする https://t.co/bQA6olr9RF
5*2=5+5なので,掛け算は足し算に直すことができます(+5を+2回足す).これと同じ要領で考えると,(-5)*(-2)は-5を-2回足すことになります.「-2回足すこと」は「+2回引くこと」と同じなので,(-5)*(-2)=-(-5)-(-5)=10となる,みたいな説明を塾のバイトではしてました
— くまのみ (@shimojolno) September 26, 2018
また、@sakiyamaK氏にDMで下記のように説明していただいた。
”数学史的な流れですが、マイナスの概念が発見された時に、四則演算のルールを拡張する必要が出てきたわけです。 マイナス発見以前からプラス*プラス=プラスだったので、プラス*マイナス=マイナスというふうに*マイナスだと「符号が反転する」ってのが自然じゃね?と掛け算を拡張することに決めたわけです。 そうするとマイナス*マイナスは「*マイナスは符号が反転する」っていうふうに拡張したのだからプラスになる。 という流れです。 マイナス*マイナスだけをみるとプラスになるのがイマイチ癪に障りますが、「*マイナスは符号が反転する」というのが大前提です”
というわけで、数学的証明については、みなさまの叡智を堪能していただくとして、本では下記のように説明される。(一部、私が簡略化し、記述する)
まず簡単には「−100円増えた」という表現について学習する。「−100円増えた」ということは「100円減った」という表現と同義である。
次に、距離と方角でこの問題を言及するのだが、ある地点Aから南へ時速5kmに進む。これを時速+5Kmとする。一方で北へ時速5kmで進むことを−5kmとする。
そして、「南から北に向かってあるく時、3時間前」はどこにいるのかという場合、3時間前には、、、
「北に向かって時速5kmで歩く」は「南に時速−5kmで歩く」であり、「3時間前」は「−3時間後」と表現できるわけである。、、、
あとは計算すれば15kmという答えが出てくることはわかるだろう。つまり、A地点から15キロ地点にいるということである。
という説明が図を用いて非常にわかりやすく説明されている。
流石に全転載はまずいので、ものすごく端折って説明したが、これ以上は本を参照されたし。
と、いうわけで、私がただただ覚えてしまった公式は割と簡単に理解できる内容だったのだ。
これからもこのような発見があればブログなどで紹介していこうと思う。
おしまい